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CMEグループが提供する日本の電力先物・オプション取引の概要

FIAジャパン編集委員会は、日本の電力に関するシリーズ の一環として、アジア太平洋地域エネルギー担当業務執行役員のニコラス・デュピュイ氏に、CMEグループ市場に対するレビューを頂きました。


「日本の電力先物が国内外のさまざまな取引所に上場されて以来、この市場は大きな値動きを見せており、日本の電力デリバティブ商品の取引高も徐々に増えています。


CMEグループは2021年2月に日本の電力先物取引を初めて導入し[1]、その後、2022年1月には電力オプション取引も導入しました[2]。

CMEグループが日本の電力先物取引を導入した目的は、現物市場の参加者が発電および送配電事業から生じる価格変動リスクをより効果的に管理できるようにするためです。CMEグループは2021年、プラッツJKM(Japan Korea Marker)とJCC(Japanese Crude Cocktail)[3]を対象とする円建ての天然ガス先物取引を導入しました。JKMとJCCは、液化天然ガス(LNG)のベンチマークとして日本で広く使われている指標です。発電事業者はこうした商品を利用することにより、発電所で使用される天然ガス価格と電力価格とのスプレッドをヘッジすることが可能になります。


商品はすべてNYMEXに上場されており、日本の取引時間帯で電子取引およびブロック取引を行うことができます[4]。


こうした一連の商品を通じ、CMEグループ現在、日本の電力市場に関連するヘッジ商品を広く提供しています。


このようなヘッジ商品の導入以降、日本の電力先物取引の流動性が大幅に高まっていることから、自然の流れとして、電力市場における次のステップが上場オプション取引商品の開発となっています。


CMEグループは、すでに東京エリアの日本卸電力取引所(JEPX)ベースロード価格に基づくオプションを上場しております。


オプションは重要なヘッジ商品であり、日本以外の電力デリバティブ市場でも広く利用されています。たとえば、現在、アジア太平洋地域最大の電力デリバティブ市場であるオーストラリアでは、電力オプション取引の過去3年間の出来高が電力先物の出来高を上回っています[5]。


価格変動は自由化された電力市場では通常に起こることで、日本の電力市場も完全に市場開放されて以来、電力価格のボラティリティは以前よりも大きくなっています。


日本の電力価格は、2021年最初の2週間で前例のないほど上昇しました。JEPXの30分間スポット価格は2021年1月中旬、1キロワット時(kWh)あたり250円に達しました。東京エリアのベースロード電力価格の月間平均は1月に1kWhあたり66.53円と、前年同月比814%の上昇となりました。


電力価格がこれほど上昇することはそれ以降なかったものの、30分間スポット価格は依然として高水準で推移しています。2017年には、30分間スポット価格のほとんどは、1kWhあたり10円以内のレンジに収まっていましたが、現在の価格はより広範囲に分布する傾向があります。


JEPX30分間スポット価格(東京エリア)の価格帯別度数分布


日本はCO2排出量を削減し、2050年までに温暖化ガス排出量のネットゼロを達成するという意欲的な計画を掲げています。それを受けて日本の電力市場が根本的な変革を遂げることが予想されるため、電力価格の高ボラティリティは今後も続く可能性があります。


経済産業省は2021年に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、日本の電力需要に対する原子力発電の割合を2030年までに20~22%とする意向を明記しました[6]。この目標を達成するには、原子力規制委員会に再稼働審査を申請しているすべての原子力発電所を再稼働させなければなりません。関西、九州、四国ではすでに全面復旧していますが、北海道、中部、東京などの地域では設計審査や最終検査の完了を待っている段階です。


第6次エネルギー基本計画によると、電力供給に占める再生可能エネルギーの割合は2030年までに36~38%に達する必要がありますが、これは2019年の倍となり、従来の2030年目標の22~24%を大幅に上回っています。この意欲的な目標を達成すべく日本は2050年までにカーボン・ニュートラルを達成し、エネルギー安全保障を確保する上で不可欠の手段として、洋上風力発電を促進する取り組みを加速させています。


こうした国内政策だけでなく国際的な緊張の高まりも、グローバルの天然ガス市場および産業用石炭市場の価格ボラティリティの上昇要因となっています。こうした状況の下で、日本の電力市場のボラティリティが上昇しているのは、日本の現在のエネルギーミックス(電源構成)において化石燃料が依然として優位性を保っているためです。


たとえば、日本はLNGの形で天然ガスを輸入しています。輸入LNGの価格はグローバルのガス市場と連動しており、ロシア・ウクライナ戦争の勃発を受けて大幅に上昇しています。このことはLNG先物(プラッツ)の清算価格に反映されています。



CMEグループによる日本の電力オプション取引は、取引戦略を多様化し、価格変動リスクを効果的に管理したいと考えている企業にその手段を提供するものです。


これらのオプション取引は、日本の電力先物取引を既に提供しているボイス・ブローカーがサポートしています。ブロック取引はリアルタイムでCMEの清算機関に通知され、取引の確認および処理が即時に実行されます。


CMEグループは、日本の市場参加者に対し、日本電力市場の活発な発展を視野に入れ、これらの新しい商品を検討することを期待しております。」



[4]: 日曜日 -金曜日: 5:00 p.m. - 4:00 p.m.米中部時間(CT)但し、4:00 p.m. CT から60 分間は取引休止

[5]: オーストラリア電力市場の概要(オーストラリア証券取引所、2023年)




本書の内容は、CMEグループが一般的な目的のためだけに作成したものであり、助言の提供を意図したものではなく、助言として解釈されるべきものではありません。本書は、お客様の目的、財務状況又はニーズを考慮したものではなく、本書に記載された情報に基づいて行動し、又はこれに依拠する前に、適切な専門家の助言を得る必要があります。発行日現在における本書内の情報の正確を期するために最善を尽くしていますが、CMEグループはいかなる誤謬や脱漏についても責任を負わず、情報の更新は行いません。さらに、本書に含まれるすべての事例及び情報は説明のためにのみ使用されており、投資アドバイス、実際的な市場経験の結果又は特定の製品若しくはサービスの販売促進とみなされるべきではありません. 日本において本書は、日本の商品先物取引法(1950年法律第239号、その改正を含みます。)及び該当する場合はその関連規則に規定されている高度な知識を有する適格投資家に対してのみ配布されます。これを除き、本書に含まれる情報は、日本のいかなる者に向けられたものでもなく、特定のCME商品又はサービスの取引又は利用について日本の顧客に宣伝又は勧誘することを意図したものでもありません。



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